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30『芋(いも)ころがし』
2011년 11월 10일 22시 01분
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작성자: 망향
30 『芋(いも)ころがし』
―埼玉県―
むかし、あるところに庄屋さんがあって、お祝いごとがあったそうな。
そこで、村人たちもお呼ばれて、ご馳走になることになったと。
村人たちは、寄るとさわるとこの話
「なんでも、めいめいに膳(ぜん)がつくっちゅうぞ」
「へぇ、そういうんだが・・・。膳ちゅうたらなんでも、箸の使い方から食べ方まで決まりがあるそうだが」
「へぇ!? そんなにやかましいもんかや」
何せ田舎のことなので、ご馳走の席の作法などは、とんと縁のない者ばかり。
あっちで、「こまったぁ」。
こっちで、「どうしたもんか」。
うれしさ半分、こまった半分。
そこで、みんなはお寺の和尚さんのところへ相談に行ったそうな。
「よしよし、それなら、わしのするようにまねるがええ。わしは作法を、ちゃんと心得とるでの」
というので、いよいよその日、村人たちは、和尚さんを先頭に大安心して出掛けて行った。
「お庄屋さま、今日はどうもおめでとうごいます。みんなしてお呼ばれにやって来ましただ。よろしくお願いしますだ」
「おうおう、よく来てくれた。さぁさ、あがってくだされや」
とか、なんとか、あいさつをかわすうちに、やがて祝儀の膳が出て、みんなは席についた。
庄屋さんが、
「さぁさぁ、冷めないうちに食べて下され」
とうながすと、みんなの首が、いっせいに、ずらぁっと横を向いて、和尚さんの動きを、じいいっとくいいるように見つめた。
すると、和尚さんはまず、里芋を箸でつまんだ。が、つるっとすべって、里芋をコロコロ転がり落とした。
これを見た村人達は、
「ほほう、芋ひとつ食うのにも、ああやって転がさねばならんのかや。作法っちゅうのは、ややこしいものじゃなぁ」
と、さっそくその真似をして、我も我もと里芋を箸でつまんで、わざとコロコロ転がし落としたと。
さあ、和尚さんはびっくり。
「これは困ったことになったわい」
と、大あわてにあわてて、
「えへん、えへん・・・」
と、せき払いをした。
すると、みんなもこれを真似て。
「えへん、えへん」
とする。
和尚さんは、いよいよ顔をしかめて、
「これ、これはちがう」
と、ひじで隣の者を突いた。
村人たちは、そこでまた、
「それ、こんどはひじだ」
とばかりに、つぎつぎにひじでコツン、コツンと突いていった。
ところが、一番おしまいにいた者が、もう誰もいないので、
「和尚さん、わしのこのひじは、どこへ持っていったらよかろうか」
ときいた。
和尚さん、いよいよ困りはてて、逃げ出したくなったそうな。
こんでおしまい ちゃんちゃん。
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